しょうちゃんのつれづれ日記

日々のお仕事、趣味の将棋と音楽関連(ピアノ・作曲)、読んだ本の感想および社会問題や国内外の政治・経済等に対する批判的な論評(ショウノミクス)などの内容が中心になります。

勤労統計の不適切調査問題について

今回も間隔が空いてしまいましたが、本年最初のショウノミクス(Vol.79)は、世間を騒がせている?毎月勤労統計の不適切調査の問題を取り上げます(冒頭にピンポイント解説を付けます)。
東京都の従業員500人以上の事業所は全数調査が必要であるにもかかわらず、15年に渡り3分の1程度しか調査されていなかったことや、人口が多い複数の県についても抽出調査を計画していたことは多くのメディアが報じていますし、その結果として賃金が低く算出されてしまい雇用保険労災保険など2千万人弱に総額537億円の追加支給が発生するということも事実だと思われますが、森を見ず木を見る?私にとって気になったのは、最近までデータ補正がなされていなかったという点についてです。
これはおそらく層別の標本抽出に関して、と私は勝手に推測!していますが、各層の大きさに応じた比例配分法や各層のバラツキの値がある場合に適用可能なネイマン配分法、加えて抽出コストも考慮したデミング配分法など、状況に応じて適切な標本抽出法を使用していたら、これほどまでに全数調査との差異が大きくなることはなかったのではないか?と考えています。
しかし、調査報告書の要旨を紙面で見る限り、専門性の高い統計(を扱うため)の部署で不適切な処理が行われたと記述されており、当然ながら担当者はこのような統計知識を持っていると考えられるため、謎というか釈然としない側面もあります。