しょうちゃんの読書日記パート42は約1年振りで、前回に引き続き吉村昭の作品です。花火は後期の15編の短篇集で、文庫本などに収録されていて以前に呼んだことがある作品も幾つか含まれていました。
初期のように人の死を題材にした小説ばかりではありませんが、それでも人の生死について、死をめぐる人間関係について考えさせられる作品が多かったですし、長編の歴史小説とは少し違った切り口のように感じられました。
作者は学生時代に結核で療養しており、終戦後間もない時期に肋骨を切除する大手術を受けているそうですが、ストレプトマイシンも既に出回っていたはずなので、当時の日本では入手が難しかったのかもしれません(彼の私小説風の作品には、この手術の話が頻繁に出てきます)。