しょうちゃんのつれづれ日記

日々のお仕事、趣味の将棋と音楽関連(ピアノ・作曲)、読んだ本の感想および社会問題や国内外の政治・経済等に対する批判的な論評(ショウノミクス)などの内容が中心になります。

医学部の男女別合格率に関する調査結果について

連投になりますが、本日のショウノミクス(Vol.74)は文科省が公表した「全国医学部の男女別合格率に関する調査結果(2013-2018年の6年間の入試結果を合算し、全体の8割にあたる63大学で男子の方が女子よりも合格率が高かったとのこと)」について議論します。分からない点が多くあるため、あくまで現時点(2018/9/5-22:45)の情報に基づくコメントで、ポイントは3点です。
1点目は調査方法についてです。緊急調査速報ということなので難しい側面もありますが、詳しい因果関係を調査するためには合格率に影響を与える可能性がある要因(性別、浪人年数(or年齢)、理科の選択科目等)を使用して、ロジスティック回帰等に代表される計数回帰モデルを利用するべきでは?と考えます。
2点目は「得点調整」でについてです。得点操作はしていない(もちろんしてはいけない!)とのことですが、理科等の選択科目による難易度の差が大きい場合はセンター試験のような得点調整が有効で、仮に男子の選択率が高い物理の問題が易しくなっており、女子の選択率が高い生物の問題が難しくなっている場合、意図的かどうかはともかくとして、得点調整がなされないと公平性に欠けることにもなりかねません。
3点目は率で考える際の一般的な注意点です。本論とは無関係ですが、選挙予測で次のような記述をたまに見かけます。「X候補はA党支持層の5割強を固めて優位に展開しており、Y候補はB党支持層の9割弱を取り込み追い上げている」このとき、A党とB党の支持率、すなわちA党とB党の支持者数が同じである、と考えると上の命題?は成り立たず、該当選挙区におけるA党の支持者はB党のそれよりも多い、という前提で話を進めています。このように数字のトリック?というか盲点!になる危険性があるため、男女別の合格率に加えて合格者数や受験者数なども議論した方が良いのではないか、と考えています。厳密に言えば、今回のケースでは問題の性質が上記とは少し異なり、総数が影響を与えにくいのは事実です。とはいえ、極端なことを言えば5人中1人でも100人中20人でも合格率は20%ですので、多少の注意が必要で、女子の受験者数が男子のそれよりも少ない大学が多数存在することは予想できます。職業病というか、講義みたいになってしまったため、今回はこのあたりで筆を置きます。