本日のショウノミクス(Vol.55)は、教育無償化シリーズの第2回目として、高等学校の授業料無償化について取り上げます。
現状では年収910万円以下の世帯を対象として公立高校は全額(月1万円弱)無償化、私立高校は公立高校授業料相当分を基本として(低所得者層への加算を行い)支援金という形で支給しています。これに対して、政府は2020年度から年収590万円以下の世帯に対して私立高校の授業料も全額無償化する方向で調整を進めています。
私の意見は、家計年収や家族構成(子供の数)、居住地域などでの支援金額などのカテゴリー分けは必要と思いますが、財源の手当が困難な場合には税金を取り崩してでも実施すべき、と考えています。
その理由は、私立高校しか選べない状況に置かれている生徒が多数存在する、という点です。大都市圏で大学受験に有利な中高一貫の私立を選択する等のケースは除外するにせよ、地方ではある程度の成績でないと公立高校には進めないケースも数多く存在します。例えば、鹿児島市内には偏差値60弱以下の公立高校がなく、市内の進学校には(私立高校進学にも十分余裕のある)裕福な家庭の子供が多数在籍しています。その結果、金銭的な側面を考慮すると本来ならば公立高校に進むべき生徒が閉め出されてしまうという現象が起こっています。日本の厳しい現実ですが、学業成績と家計収入の高い相関(比例関係)はほぼ実証されていますので、何らかの対策が必要と感じます。
このような状況では、支援を必要とする生徒の大半が公立高校を選択できる訳では無いため、私立高校授業料の無償化も急務であると考えます(半ば義務教育化している高等学校に進学しないという選択肢は除外します)。この点において、大学等の高等教育無償化とは論点が異なるのではないか、と思います。